フランスパン・食パン・クロワッサンなどさまざまな種類のパン

世界の代表的なパン34選!リーン・リッチなパンに分類してご紹介

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パンの世界はとても広く、おなじみの食パンやロールパン以外にも、国や地域ごとに数え切れないほどの種類が存在します。日本で楽しめるパンは、ヨーロッパの伝統を受け継いだものが多く、そこから日本人好みにアレンジしたり、和の要素を取り入れて作られてきました。
今回は、世界中で親しまれる定番のパンから地域の特徴や文化が反映された個性的なパンまで幅広く紹介していきます。今まで知らなかった海外のパンを試すことで、食の奥深さや多様性をぜひ感じてください。

1.主なパンの種類・分類と材料

トマトやハムの入ったバゲットサンド

パンの種類は主に以下の通りです。

パンの種類 主なパン
食パン 山形食パン・角食パン
菓子パン クリームパン・あんパン・メロンパン・ジャムパン
堅焼きパン フランスパン・ライ麦パン・カンパーニュ
ペストリー クロワッサン・デニッシュ・キッシュ
スイーツ(発酵菓子) バターケーキ・マドレーヌ
食事パン ロールパン・白パン・丸パン・コーンパン・コッペパン
調理パン ウインナーロール・ピザパン
サンドイッチ 野菜サンド・ミックスサンド・卵サンド
ドーナツ(揚げたパン) ドーナツ・カレーパン・あんドーナツ

使用する材料によって「リーン(Lean)」なパンと「リッチ(Rich)」なパンに分けられます。
リーンとは「シンプルな」という意味です。小麦粉・イースト・塩・水を主体としたシンプルな材料で作りますが、わずかな砂糖や油脂を含むパンもあります。
リッチとは「豊かでコクのある」を意味し、小麦粉やイーストといった基本材料に加えて、砂糖・卵・バター・牛乳など、さまざまな材料を使うパンのことをいいます。この違いが、パンの製法・味・食感の違いを生み出しています。

2.【日本】代表的なパン5種類

日本のパン文化は、国内外からさまざまな影響を受けて発展しました。食パンやメロンパンの他、あんパンのような和洋折衷のパンが昔から人気ですよね。
また、健康志向の高まりから全粒粉や雑穀を使用したヘルシーなパンなど、日本人の味覚に合わせてさまざまなアレンジがされています。

リーンなパン|食パン・コッペパン

カットされた食パン

日本の代表的なリーンなパンは、シンプルで広く親しまれる食パンとコッペパンです。食パンは、小麦粉をはじめとした基本の材料で作ります。軽くもちもちとした食感で、トーストにしたりサンドイッチにしたりと、朝食やランチによく登場するのでは。
コッペパンは紡錘形で、シンプルながらジャムや具材との組み合わせでさまざまなアレンジが楽しめます。学校給食のパンにもよく用いられており、日本の食卓に欠かせない存在のひとつですね。

リッチなパン|あんパン・ジャムパン・メロンパン

たっぷりのあんが入ったあんパンの切り口

メロンパンとデニッシュパン

日本独自のリッチなパンには、あんパンやジャムパン、メロンパンがあります。
あんパンは、あんこをぜいたくに使った日本ならではのパンで根強い人気がありますね。粒あんやこしあんだけでなく、栗あんなどさまざまな種類のあんこで作られています。
ジャムパンは、苺やブルーベリーといったフルーツジャムが詰まったパンで、子どもから大人まで幅広く人気です。
メロンパンは、丸めたパン生地に薄く伸ばしたクッキー生地を覆って焼いたパンで格子状の模様が特徴。外はカリカリ、中はふんわりとした食感が魅力です。甘いクリームを詰めたものなどお店によってさまざまにアレンジされています。
リッチなパンは日本ではスイーツのひとつとして楽しまれていて、ベーカリーだけでなくコンビニでも手軽に手に入りますね。

3.【イギリス】代表的なパン4種類

日本のパン文化に大きな影響を与えたイギリスのパンは、イギリス食パンやイングリッシュマフィンのようなシンプルなパンが多くを占めます。日本との違いは砂糖をあまり使わないことで、食パンだけでなく、スコーンのようなリッチなパンも甘みが少ないのが特徴です。

リーンなパン|イギリス食パン・コテージローフ

スライスしたイギリス食パン

イギリスの代表的なリーンなパンは、イギリス食パンとコテージローフ。イギリス食パンは日本の食パンよりも発酵時間が長い傾向にあるため、空気をより多く含んだ軽い食感に仕上が ります。
コテージローフは、小麦粉と塩をベースにしたイギリスの伝統的なパンです。丸いパンを二段重ねにした形状が特徴で、焼きたての芳醇な香りが食欲をそそります。

リッチなパン|スコーン・イングリッシュマフィン

ケーキクーラーに載ったスコーン

イギリスのリッチなパンの中でも特に有名なのが、スコーンとイングリッシュマフィンです。
スコーンは、外はサクサク、中はしっとりとした食感が楽しめる、イギリスのティー文化に欠かせないパンです。スコーン自体はそれほど甘くないため、クロテッドクリームとジャムをたっぷり添えてミルクティーと一緒にいただくのが一般的です。
イングリッシュマフィンは円形の平らなパンで、表面にはコーングリッツと呼ばれるとうもろこしの粗挽き粉がまぶされています。シンプルに焼いて朝食としてはもちろん、エッグベネディクトのベースやサンドイッチに使われるなど、さまざまなアレンジで食べられています。

4.【フランス】代表的なパン6種類

フランスのパンといえば、フランスパンを想像する方も多いですよね。フランスパンとは、バゲットやバタールのようなシンプルなリーン系のパンの総称のこと。小麦粉・塩・水・イーストとシンプルな材料のフランスパンは、配合によって風味や食感が変わります。

リーンなパン|バゲット・エピ・パンドミ・パンドカンパーニュ

パリッとした焼き目が付いたフランスパン

テーブルの上に並ぶベーコンエピ

しっかりとクープが入ったカンパーニュ

フランスにはリーンなパンが数多くありますが、特に日本でなじみがあるのは、バゲットやエピ・パンドミ・パンドカンパーニュではないでしょうか。
バゲットはフランスを代表する細長い形状のパンで、クープと呼ばれる切れ目の入ったパリッとしたクラスト(表皮)と、空気を程よく含んだクラム(内層)の食感が特徴です。エピは麦の穂先を模した形状で、バゲットと同じくクラストが香ばしく、中はややしっとりとしています。生地の中に、ベーコンやチーズを折り込むことも。
パン・ド・ミはフランス流の食パンで、イギリス食パンとよく似ています。サンドイッチやトーストにするだけでなく、時間がたって堅くなってしまったものはクロックムッシュにしたりと、さまざまな食べ方で楽しむことができます。
パン・ド・カンパーニュは日本語で「田舎パン」という意味で、果物などの酵母から得られる「ルヴァン種」を使用するのが特徴です。この独自の発酵プロセスによって、素朴ながらも風味豊かでコクのある味わいが生まれます。

リッチなパン|クロワッサン・ブリオッシュ

クロワッサンとバター

ドライフルーツを練り込んだパネトーネ

フランスのリッチなパンには、クロワッサンとブリオッシュがあります。クロワッサンは、フランス語で「三日月」を意味するサクサクと香ばしいフレンチペストリー(ヴィエノワズリー)です。バターをふんだんに使った生地を折り重ねて層にし、三日月形や菱形に整形して香ばしく焼き上げます。
ブリオッシュは、バターと卵をたっぷり使用したふんわりしっとりとした食感のパンです。甘みがあり、生地がケーキのように柔らかいのが魅力です。クリームをサンドしたりとアレンジもさまざま。どちらも日本でも人気があるので、ベーカリーで見かけることも多いですよね。

5.【アメリカ】代表的なパン5種類

アメリカでは多くの人種が存在する背景から、ヨーロッパなど多国籍のパン文化を取り入れつつ、独自のパン文化を築いてきました。コーンブレッドはアメリカ発祥のパンである一方、ニューヨークで人気に火が付いたベーグルはユダヤ系の文化を取り入れたパンといわれています。

リーンなパン|コーンブレッド・ベーグル

かごに入った白パン

アメリカのリーンなパンは、コーンブレッドとベーグルが代表的です。
コーンブレッドは、小麦粉ではなくとうもろこし粉を主原料としているため、とうもろこしの素朴な甘みが感じられるパンです。イーストの代わりにベーキングパウダーで膨らませるので、家庭でも手軽に作ることができます。
ベーグルは小麦粉とイーストを使用し、お湯でゆでてから焼く製法が特徴です。弾力がありもちもちとした食感が楽しめます。ジャムのような甘いトッピングや、サーモンやチーズといった塩気のある具材にもマッチするので、おやつ・食事のどちらでも楽しめます。

リッチなパン|ロールパン・ハンバーガーバンズ・ドーナツ

リッチなパンには、ロールパン・ハンバーガーバンズ・ドーナツがあります。ロールパンはバターや卵を多く含み、ふんわりとした食感が特徴です。中央を切って具材をサンドしたり、スープと一緒に楽しんだりと食べ方はいろいろ。
ハンバーガーバンズはしっとりとした生地で、ジューシーなパテとの相性が抜群です。ドーナツは甘い生地を揚げたパンで、トッピングやフィリングなどアレンジも豊富ですよね。日本では、ドーナツの製法をカレーパンやあんドーナツにもアレンジしています。

6.【イタリア】代表的なパン5種類

パスタやピザのイメージが強いイタリアですが、それぞれの地域に独自のパンがあります。料理を彩る役割が大きいので、特にリーンなパンはシンプルで食べやすいものがほとんど。オリーブオイルを塗って焼いたり、ディップしたりして食べることも。

リーンなパン|フォカッチャ・パニーニ・グリッシーニ

イタリアのリーンなパンは、フォカッチャ・パニーニ・グリッシーニが代表的です。フォカッチャはピザの原型といわれるパンで、プレーンなものだけでなく、オリーブの実やドライトマト・香草を乗せて焼いたものも好まれています。
パニーニは、薄焼きのパンにハムやチーズなどの具材を挟んで食べるイタリア風サンドイッチです。チーズやハム、ベーコン、野菜などの具材をサンドしたらパニーニ専用の焼き器にセットし、波型の模様を付けて焼き、熱々で楽しみます。
グリッシーニは細長い形状で、カリカリとした軽い食感が特徴です。ワインと一緒におつまみとしていただくことが多く、生ハムを巻いたりチーズの付け合わせにしたりと、いろいろな楽しみ方ができます。

リッチなパン|パネトーネ・コロンバ

ドライフルーツを練り込んだパネトーネ

イタリアのリッチなパンには、パネトーネとコロンバがあります。パネトーネはクリスマスシーズンに食べられる伝統的な甘いパンで、バター・卵・ドライフルーツ・オレンジピールをぜいたくに練り込んだ生地が特徴です。
コロンバはイースターの時期に食べる伝統的なパンで、ハト(Colomba)をモチーフとした形が特徴です。甘いイースト生地にアーモンドやオレンジピールを混ぜ、表面をアーモンドペーストで覆って、ワッフルシュガーなどをトッピングし焼き上げます。

7.【ドイツ】代表的なパン5種類

ドイツのパンといえば、黒パンやライ麦パンなど、どっしり重厚で堅いパンをイメージする方も多いのではないでしょうか。
実際にドイツでは重めのパンを焼いて薄くスライスして食べることが多く、リッチなパンもドライフルーツを混ぜ込んだずっしり感のあるシュトーレンが代表的です。

リーンなパン|ライ麦パン・白パン・プレッツェル

かごに入った白パン

ドイツには数多くのリーンなパンが存在しています。中でも、日本でもなじみが深いのは、ライ麦パン・白パン・プレッツェルなどでしょうか。
ライ麦パンはライ麦粉を主成分とし、香ばしい風味としっとりとした食感が特徴です。ライ麦の割合が高くなるほど重厚で独特の風味が楽しめます。
白パンは、ドイツのパンではめずらしく小麦粉のみを使用したパンで、シンプルでふわっと軽い食感が特徴です。どちらもドイツの伝統的なパンで、さまざまな料理とマッチします。
プレッツェルは、ハートのようなユニークな形が特徴で、ドイツではビールやソーセージと一緒に食べる定番のパンとして親しまれています。重曹を入れた熱湯に数秒間浸す工程が特徴的でこの工程が、香ばしくもっちりとした食感を生み出します。チョコレートやクリームを使うものもあるので、配合次第ではリッチなパンになることもあります。

リッチなパン|シュトーレン・ベルリーナー(クラップフェン・プファンクーヘン)

ドライフルーツとマジパンが練り込まれたシュトーレン

ドイツのリッチなパンは、シュトーレンとベルリーナーが代表的です。シュトーレンは、ドライフルーツ・ナッツ・スパイスをたっぷり練り込んだリッチな生地を整形して焼き上げ、溶かしバターにくぐらせてたっぷりの粉糖で仕上げます。クリスマスの時期に、クリスマスを心待ちにしながら少しずつスライスして食べるのが伝統的です。マジパンを中央に巻いたものやバターを多く配合したもの、スパイスの種類や量など、地域やお店によって違いがあるのも楽しめますね。
ベルリーナーとはドイツ風ドーナツで、ころんとした丸いフォルムが特徴です。揚げたパンの中にはジャムのフィリングが入っていて、表面には滑らかなアイシングを施します。

8.【その他各国】人気のパン4種類

フルーツやクリームが載ったデニッシュ

ケーキクーラーに載ったシナモンロール

各国で愛されるパンには、地域ごとに独自の製法や風味があり、その多様性が食文化を豊かに彩っています。ここまで紹介した国や地域以外のパンも4種類ご紹介します。

・デニッシュ(デンマーク)
デンマーク発祥のデニッシュは、生地にバターを折り込んで層を作り整形して焼き上げるパンで、サクサクとした食感とバターの風味豊かな味わいで、ジャムなどのフィリングをのせたりさまざまに楽しめます。軽食やティータイムにもぴったりのリッチなおいしさです。

・ポンデケージョ(ブラジル)
ポンデケージョはブラジルのパンで、ブラジルの公用語であるポルトガル語で「チーズ(queijo)」の「パン(Pão)」という意味があります。ほんのりチーズの香りと、生地にタピオカ粉が使用されることで、もっちりとした食感が楽しめます。

・シナモンロール(スウェーデン)
スウェーデンが発祥とされるシナモンロールは、シナモンとシュガーをたっぷりと巻き込んだ香り高いパンです。

・ピロシキ(ロシア)
ロシアのパンとして代表的なピロシキは、生地に具材を詰めたパンです。ひき肉やじゃがいも、キノコなどさまざまな具材のバリエーションが楽しめます。日本でも、ロシアの伝統的な料理として親しまれています。

9.まとめ

焼きたてのバケット

世界のパン文化は多様で、国ごとに独自の伝統や製法が根付いています。日本でも、世界のパン文化の影響を受けながら独自の進化を遂げて、日本人好みのパンが多く生まれてきました。地域性や文化の違いが多様性をもたらし、日本にいながらでも豊富なバリエーションを堪能でるのは嬉しいことですね。
わたしたちエーデルワイスが展開するブランドの1つである「ブーランジュリー ル ビアン」は、フランス・ブルターニュ地方で創業し、祖父・父からパン作りを受け継いだ3代目のル ビアン・ミッシェルが、フランスのパン作りの伝統や技術を日本の文化に融合させてたくさんのパンを生み出してきました。バゲットなどシンプルなフランスパンはもちろん、工夫をこらした「ブーランジュリー ル ビアン」の多様性あふれるパンの世界をどうぞお楽しみください。

ブーランジュリー ル ビアン